夜と霧 新版

ナチスによる、ホロコースト。強制収容所では何が行われ、人々は極限状態の中どう変化していったのか。

この本の著者は、実際に収容所から生還した精神科医/心理学者です。彼がそれらの学問に精通していたからこそ、被収容者が記憶を消すほど辛い日々を、負の歴史財産として書き表せたのではないでしょうか。
実際には、思い出すことも書き綴ることも勇気が必要だったようです。この記録で過ちが繰り返されることを防げるのなら、と行動した彼は後世に大きく貢献しているでしょう。

終わりが見えない日々、明日も知れぬ命。最も大切にするものは、人によって異なります。最後まで人の尊厳を守り抜きたい、次の朝を迎える為ならなんでも、愛や心を失いたくない、それらすべては、本来他者に侵されてはならないものです。
けれど、収容所では違いました。
本を読むと、平和に暮らしている立場からは耳を疑う所業が多く出てきます。被収容者同士でも。
葛藤しながら望まない行動を取らされ、収容所から解放されてなお苦しみ続けた被収容者たちの想いに、本を通して触れてみませんか。

この本を読んだ経験は、私にとって間違いなく財産になりました。
ぜひ、出会ってみてください！